SURVIVE

○繁華街(渋谷)の一角・通り 夜

街角に、痩せたイラン人が立っている。名前はアジズ。少し挙動不審な感じ。
落ち着かない様子で周りを見ている。

○商店街(三軒茶屋・栄通り商店街)の通り

通りを歩いていく今江和宏。携帯電話が鳴り、電話に出る和宏。

和宏「…はいよ…」

○線路沿いの通り(渋谷・恵比寿方面)

電車の音がうるさい。箕山真司が携帯電話で話している。
細身で、目付きも雰囲気も鋭い印象の箕山。

箕山「俺です。すいません…」

少し離れた所に、色白のイラン人と、警戒している表情の本間仁志が立っている。

箕山「…何か、自分たちとは関係ないとか言ってます…」

電話で話している箕山に向かって大声を出すイラン人。

イラン人「ワタシたちならもっとウマくやってるよ!」
箕山「(電話に)…はい。そうっスね…」

○地下鉄の駅(三軒茶屋)の入り口(南口)

歩道を歩いてくる和宏。

和宏「…こっちはやることやるぞって言っとけ。…あぁ、そいつに言っとけ。俺は二十分くらいで行くから。ケン呼んどけよ…」

地下に降りる階段を下りていく和宏。

○線路沿いの通り

電話を切る箕山。険しい顔で、立ち去ろうとしていたイラン人を呼び止める。

箕山「おい!」

○繁華街・通り

いかにも水商売という格好をした池山と田村がアジズに近寄っていく。
アジズに声を掛ける池山。
ねぎらうように肩をポンポンと叩く池山。愛想笑いのアジズ。

○地下鉄の駅・ホーム

ホームに地下鉄が入ってくる。
階段からホームに出てくる和宏。電車が停まるまで歩き続け、ドアが開き、乗り込む和宏。

○歩道橋

駅の近くの歩道橋を渡っている箕山と本間。携帯で電話を掛けている箕山。

○地下道の入り口の階段

地下道からの階段を上がってくる天野健と元木俊介。
大柄でいかにもガラの悪い感じの天野。携帯が鳴り、電話に出る。

○歩道橋

歩きながら、天野と電話で話す箕山。

箕山「あ、俺。今カズさんと…そうそう。そんで、今どこ? あ、近いじゃん。じゃ、後で話すよ。…うん、集まっとけって…」

○通り

階段から歩道に出てきていた天野たち。電話を切る天野。不敵な笑みが浮かぶ。

天野「…やっちまうってよ…」

階段に戻る天野。地下へ足早に下りていく。慌てて付いていく元木。

○繁華街・通り

通りの端に、壁を背に立っているアジズ。

○エスカレーター(⑨出口)

地下から、エスカレーターで和宏が上がってくる。鋭く、ヤル気で冷たく燃えている、危険な目つき。

○駅ビルのコンコース

人混みをぬって早足で歩いていく和宏。

○ロータリー(東口)の横断歩道

銀座線の高架の下の横断歩道を歩いてくる和宏。渡り切った先の歩道に、箕山、天野、本間、元木が待っている。そのまま足を止めずに、歩道を歩いていく和宏。
和宏の後について歩き出す箕山たち。

○繁華街・通り

アジズが独り、立っている通り。大勢の人が行き交っている。

○繁華街・通り

同じ通りの、脇道との十字路。脇道から和宏たちが出てくる。
横切りながら、その通りの先の方を見て、アジズの姿を確認する和宏たち。
そのまま脇道に消える。

○繁華街・通り

通りの端に立っているアジズ。
アジズの背後の、物陰の暗闇から、腕だけが伸びてきて、アジズの体を捕える。
暗闇に消えてしまうアジズ。誰も何も気付かず、大勢の人々が普通に行き交い続ける。

○路地

繁華街の明りや喧騒が届かない、ビルとビルの隙間の暗闇。
アジズの体が引き摺られてきて、壁に向かってドサッと投げ出される。
呻き声を上げるアジズ。口にはポケットティッシュが袋ごと詰め込まれている。
(和宏たちの)足蹴が飛んでくる。袋叩きにされるアジズ。
 ×  ×  ×
血だらけのアジズのこめかみに、拳銃の銃口が突きつけられる。撃鉄のカチッという音がする。
恐怖に眼を見開くアジズ。
間。銃口がスッと消える。
腹を再び蹴られ、呻き声を上げるアジズ。

○繁華街・脇道

脇道から、明るい通りに出て行く和宏たち。人の流れの中に入って、通りを歩いていく。

○ガソリンスタンド・事務所の中

街道沿いのGS。仕事を終えた私服姿の店員たちが事務所から出て行くところ。

店員たち「(口々に)お先に…」
徹也「お疲れさんです…」

まだ勤務が続く、制服姿の井上徹也が一人残される。
皆が出て行った後、部屋の隅から古ぼけた小さなラジカセを出して、ボタンを押して音を出す。
そのラジカセを下げて、事務所を出て行く徹也。
 ×  ×  ×
ラジカセを足元に置いて、事務所のガラスの壁の外側を拭き始める徹也。

○地下鉄の車内

混み合った車内。
駅(三軒茶屋)に着き、乗客が降りていく。和宏もその中の一人。ホームを歩く和宏。
(F/O)

○(F/I)繁華街・通り(井の頭通り)

歩道のガードレールに腰掛けている和宏。傍に強面でガタイのいい後藤康之が立っている。
赤い缶の缶コーヒーを飲んでいる和宏。携帯が鳴り、電話に出る。

和宏「ハイ、もしもし…。はい、いいですよ。今から行きますんで…はい、はい…」

電話を切って、立ち上がる和宏。

和宏「(後藤に)ちょっと行ってくっから」
後藤「はい。オレどうします? 一緒に行きます?」
和宏「ん、いいべ。すぐそこだしよ。すぐ戻ってくっから…」
後藤「つーかオレが行きます?」
和宏「フッ、いいよ。ここにいろ」
後藤「ウッス…」

車道を渡っていく和宏。

○路地(宇田川町)

雑居ビルが並ぶ細い路地に立っている和宏。ビルの裏口にあたる従業員用のドアから、仁美が出てくる。

和宏「いつもどーも…」
仁美「フフッ」

持っていたカネを渡し、小さな紙袋を受け取り、中のモノをサッと見る仁美。

和宏「じゃあね。またヨロシク」
仁美「うん。じゃあねー」

ビルに戻っていく仁美。和宏も歩き去る。

○通り

歩道を歩いていく和宏。携帯が鳴り、電話に出る。さっきの携帯とは違う電話。

和宏「…はいよ…」

○通り・喫茶店の前

早足で歩いてくる和宏。和宏を待っていた箕山、天野、後藤、本間と辻幸太。
箕山の後ろに立っている幸太に気付く和宏。

和宏「(箕山に)誰だ、こいつ?」
箕山「…オレの地元の後輩です。コータ…」
幸太「(会釈して)辻幸太です…」
天野「カズ、あんま時間ねぇらしいんだ」

少し苛立っている天野。

天野「(顎で店をさして)中にいんだけど」
和宏「(喫茶店の構えを見て)…中か…」
箕山「店の中じゃ、ヤバくないスか?」
天野「外で話すか?」
和宏「いってみっか。(後藤と本間に)お前ら、外で周り見とけ」

頷く後藤と本間。店に入っていく和宏。

天野「(後藤に)何かあったらすぐ呼べよ」

頷く後藤。
箕山と天野も店に入っていく。

○喫茶店の店内・テーブル席

若い女が二人、座っている。
そこにやってくる和宏たち。二人の向かいに座る。

和宏「どうも」
天野「(二人に)言ってた、カズ…」

会釈する二人。名前はカズミとアキ。

和宏「なんか客を紹介してくれるって話なんだって?」
カズミ「ウン」
和宏「そっか。ありがとね」
天野「そんで、どんな人っつったっけ?」
カズミ「えーとねぇ、カズミのお友だちなんだけど…」

○喫茶店の前

店から、カズミとアキが出てくる。その後から和宏たちも出てくる。

カズミ「じゃあねぇ」

手を振って去っていくカズミとアキ。話の内容に満足気な表情の和宏。
カズミたちとは違う方向に歩き出す和宏たち。その一団の一番後ろの端に幸太もいる。
背中と背中の間に見える和宏の後ろ姿を見ている幸太。嬉しそうな、そして誇らしげな表情。

○牛丼屋

並んで牛丼を食べている和宏と天野と後藤。和宏の携帯が鳴り、電話に出る。

和宏「はいよ。久し振り…。(笑って)…いや、あんま良くない。今、牛丼喰ってる。ハハッ、すぐ掛け直すから。うん…」

○路地(道玄坂近く)・雑居ビルの裏手

非常階段をトントン上りながら、電話を掛けている和宏。

○非常階段・非常口の前

鉄製の非常ドアが開いて、ピンクの薄い布地の、ミニスカートのナース服を着たココが出てくる。
待っていた和宏。

ココ「ありがとー!」
和宏「(紙袋を渡して)はい」
ココ「うん! カズ君久し振り! セイラちゃん元気?」
和宏「うん、元気だよ」
ココ「今なんかバイトしてるの?」
和宏「(頷いて)コンビニ。ウチの近くの」
ココ「あ、そうなんだー。あ、これ」

カネを渡すココ。

和宏「最近稼いでんの?」
ココ「(首を傾げて)うーん、ダメかも。新しい子、っていうか若い子? 一杯入ったし。もうワタシ人気ないかも。もうオバサンって感じ」
和宏「え。そんなことあんだ?」
ココ「あるある。この業界も大変なんだよー、色々。おっぱいだけじゃダメね」
和宏「(笑って)…そっか」
ココ「じゃあ、一応仕事中だからさ。またね。今度ゆっくり、ご飯でも食べよ。セイラちゃんにも会ってお話したいし。また連絡するね」
和宏「ん。またヨロシク」
ココ「うん。じゃあねー」

ドアの中に消えるココ。

○コンビニ夕方

制服姿でレジを打っている山本さち子。

さち子「(客に)ありがとうございました」

中年の女の従業員が奥から出てくる。

従業員「さち子ちゃん、どうする? 時間だよ。良かったら残業してく?」
さち子「あ、どうしよっかな…」
従業員「この後何かあるの? 私ね、ちょっとやることあってさ…」
さち子「ホントに? じゃ、三十分だけ…」
従業員「あ、お願い。助かるわ」
さち子「はーい」

○地下鉄(半蔵門線)の車内

混み合っている車内。立っている和宏。

○駅(三軒茶屋)の構内・改札口

定期券で改札を通る和宏。

○同・地下のコンコース

地下の広い通路を歩いていく和宏。

○駅前の広場

駅の施設の端にある、レンガ敷きの小さな広場(プラザ)。
自分でヨチヨチ歩いている幼児に向かって、しゃがんで、笑顔で両手を広げているさち子。
買い物帰りの若い母親は、すぐ側で知り合いと世間話をしている。ベビーカーも母親の手元にある。手を取って子供と遊ぶさち子。
その広場に出てきた和宏が、子供と遊ぶさち子の姿を見ている。
間。さち子に近づく和宏。さち子も気付く。

○レンタルビデオ(ツタヤ)の店内

棚から、借りるDVDを取る和宏。さち子が歩いてくる。

さち子「カズ君、決めた?」

頷く和宏。

さち子「またマニアックなの?」
和宏「どうせ寝ちゃうんだろ?」
さち子「寝ません! もう!」

○路地・アパートの前

路地を歩いてくる和宏とさち子。アパートの敷地に入っていく。
ポケットから鍵を出している和宏。

○アパートの一室・リビング

1LDKのアパート。帰ってきた二人。

和宏「オレ、先風呂…」
さち子「ワタシあとでいいや…」

風呂場に歩いていく和宏。

○路地・アパートの前

宅配を終えたピザ屋が走り去っていく。

○アパートの居間

テーブルにピザを広げ、部屋を暗くして、並んで座ってDVDを見ている二人。
二本目のビールの缶を開ける和宏。

○キャバクラ『Sweet Berry』の前 夜

『Sweet Berry』の看板が出ている雑居ビルの前。田村が、その看板の脇に立って客引きをしている。
佐藤が歩いてくる。

田村「あ、(会釈して)おはようござっス!」
佐藤「おう」

挨拶しながらビルに入っていく佐藤。
 ×  ×  ×
ウェイターの格好の、北島がビルから出てくる。

田村「おう。どうした?」
北島「〝お届け〟です」
田村「(頷いて)あぁ。お疲れさん」

○通り

路駐している濃紺のベンツに近寄っていく北島。ウィンドが開く。

ベンツの男「…いつもワリィな、兄ちゃん。ご苦労さん」
北島「(愛想笑いで)あ、いえ…」

カネとブツを交換する二人。

○『Sweet Berry』の前

サラリーマンの一団が通り、チケットを手に声を掛ける田村。

田村「さっ、キャバクラいかがでしょう?」

無視される田村。

○アパートの一室

横に座る和宏にもたれて、寝入っているさち子。ビデオに見入っている和宏。

○道路

空いている道を原チャリで走る幸太。

○路地

細い抜け道を行く幸太。

○街道

大きな街道を快調に走る幸太の原チャリ。

○ガソリンスタンド

徹也の働くガソリンスタンド。
歩道から、幸太の原チャリが入ってくる。
デッキブラシとバケツを持って歩いていた徹也。幸太に気付く。

幸太「チィーッス!」
徹也「おう、コータ。何だよ、久しぶりじゃねーか!」
幸太「へへ…」

○同・ガレージ

アスファルトの床にバケツで洗剤の溶液を撒いていく徹也。
ガレージの隅で、自分の原チャリに跨っている幸太。小さな赤い紙片のフライヤーを見ている。
徹也のラジカセからは音がずっと流れている。

幸太「(目を輝かせて)凄いっスね、これ」
徹也「俺らのイベントだぜ、〝ジム〟で」
幸太「ヤバイっスねー」
徹也「まあ、誘ってくれる奴がいてな、知り合いで。一緒にやんねぇかっつってな。まだ二回目だから、デケェことは言えねぇんだけど」
幸太「いやでも、凄いっスよ」

デッキブラシで床を擦り始める徹也。

徹也「まあ、続くように頑張んねぇとな。マジでチケット売るのも全部自分らだからよ。お前も来てくれよ。ていうか来いよ。どうせヒマなんだろ?」
幸太「いやー、でもカネないんスよ」
徹也「なんだよ。じゃ、ゲストで入れてやるよ」
幸太「マジっスか?」
徹也「お前の一人分だけな。あんま入れると怒られんだよ」
幸太「絶対行きます」
幸太「中で酒飲めよ、一杯くらい…」

客の車がスタンドに入ってきて、ガレージから小走りで出て行く徹也。

徹也の声「いらっしゃいませー」

嬉しそうに、手元のフライヤーを見つめる幸太。
大切そうに、赤い紙を小さく折りたたみ、自分の財布にしまう幸太。
 ×  ×  ×
徹也が戻るのを待っている幸太。
 ×  ×  ×
ホースの水で床の洗剤を流していく徹也。慌てて原チャリから降りて逃げる幸太。
笑いながら、水で追いかける徹也。

○ガソリンスタンド・外観
無機質な白い照明で照らされている、街道沿いのGS。(F/O)

○(F/O)繁華街・通り(センター街)夜

終電前で、駅に向かう人の流れとは逆の方向に歩いていく幸太。

○通り(井の頭通り・宇田川町)

角を曲がって、坂道を上がっていく幸太。

○クラブ『GYM』・入り口

入り口に立っている幸太。店員がリストで幸太の名前を探している。

○『GYM』店内・フロア

狭い小バコ。お客の入りは程々で、半分くらいが気持ち良さそうに踊っている。

○同・DJブース

DJの三木が皿を回している。

○同・フロア

小瓶のビールを飲みながら、居心地悪そうに壁際に立っている幸太。
近くの女の子の胸の谷間を見たりしている。

○同・DJブース

ブースに顔だけ出して、フロアを覗く徹也。気付いて、ヘッドホンを外す三木。

徹也「まあまあ入ってるね」

頷く三木。徹也もウンウンと頷く。

○通り(センター街)

幸太が歩いてきた通り。幸太とは逆の方向から、和宏たちが歩いてくる。
箕山、天野、本間、後藤、元木にカズミとアキも一緒にいる。
焼肉屋の看板が出ているビルに入っていく和宏たち。

和宏「(二人に)今日は接待だから」
天野「ドーンといっちゃってよ」
カズミ「ホントにー?」
天野「この間は時間がな」
アキ「あ、そうだよねー」
和宏「今日は大丈夫なの?」
カズミ「うん。ドーンといける」

ビルのエレベーターに乗り込む和宏たち。

○焼肉屋『牛笑』店内

長いテーブルに座っている和宏たち。皆に飲み物が渡り、乾杯する。

和宏たち「(口々に)チィーッス!」

肉の皿が次々に運ばれてくる。

天野「焼きますか!」
元木「いただきヤス! ではタン塩から!」
天野「俊介はお前、面倒クセェからこのままいけ!」
元木「ナマですって! 無理!」
天野「バーカ、ビールと一緒だよ。生(なま)、生(なま)」
後藤「(店員に)スイマセン、生(なま)お代わり」

既にジョッキを飲み干している後藤。

箕山「お前、早過ぎだろ」
天野「じゃ、オレも…」

半分くらいあったビールを飲み干す天野。

箕山「だから早いって」
和宏「じゃ、オレも」
箕山「えぇ?」

話し声と笑い声と肉を焼く音で賑やか。

○『GYM』・ステージ

DJの三木が派手なスクラッチをキメる。
それを合図に、ブースの脇に造られた狭いステージに、マイクを持った徹也が出てくる。
ライブのスタートに客のテンションが上がる。ラップを始める徹也。

○同・フロア

そんなに大勢ではないが、徹也たちのライブに盛り上がっている客たち。程よい興奮と一体感に包まれている。その一番後ろの方にいる幸太。
皆がビートに体を揺らしているなかで、幸太だけ縦ノリで、やや浮いている。

幸太「(興奮して)スゲェ! テツさん、スゲェ! マジかっこいい! テツさん!」
徹也の声「今日はマジ、イベントまだ二回目なんで、みんな来てくれるか心配だったんだけど、思ってたより全然、たくさん来てくれるんでマジ嬉しいです。ありがと」
客の一人「テツヤ!」
別の客「ミッキー!」
徹也の声「そうだな。始めての人は始めまして。久しぶりの人は久しぶり。いつもの奴は…、ま、いいか。いつも会ってる奴はな。じゃ、せっかくなんで、ガンガン行こうか。DJミッキー、オン・ザ・セット!」

三木のスクラッチに再び盛り上がるフロア。
次の曲を始める徹也と三木。

幸太「マジ、カッケー! マジ、ヤバイ!」

○『牛笑』店内

飲み食いしている和宏たち。

和宏「(女の子二人に)飲んでる?」
カズミ「うん、大丈夫だよ」
和宏「ケン、お前、この二人喰ってねぇぞ」
天野「(笑って)あれ。ゴメン」
カズミ「(笑って)食べてるよ。ねえ?」
アキ「ウン。おいしいー」
天野「(元木に)バーカ、俊介、お前喰い過ぎだよ。気ぃ遣え」
元木「スイマセン…」
和宏「(笑いながら)やっぱ足んねぇべ」
箕山「(笑いながら)やっぱり」

メニューを広げる箕山。

和宏「生が…4かな…」
箕山「はい…」

○『GYM』・ステージ

最後の曲をやり終え、汗びっしょりの徹也。曲が終わり、客から歓声が沸く。

徹也「イェー、サンキュー。えーっと、まだまだ、今夜は、続くんで。〝スプライツ〟のライブは、またちょっと後なんで…」

次のDJに交代している三木。客からブースに手が伸びてきて、握手で応える。

徹也「(続き)…まあ、酒でも飲んで、トークして、踊って…。そんな感じで…」

○通り・『GYM』の前

『GYM』の入った雑居ビルの前。幸太がソワソワしながら立っている。
ビルの脇から徹也と三木が出てくる。

徹也「おう、コータ」
幸太「あ。お疲れさんです!」
徹也「何だよ、帰んのか?」
幸太「はい。オレ原付きなんで…」
三木「遊んでけばいいのに」
幸太「いやー、オレ、なんかアレなんスよ」
徹也「(笑って)何だよ、アレって。オレら今から飯行くけどよ。一緒に来っか?」
幸太「マジっスか? 良かった、メールして。行きます!」
徹也「ま、オレらはすぐ戻ってこねぇといけねぇんだけど」
幸太「何喰うんスか?」
徹也「焼肉。今夜は上手くいったからよ。オレら決めてんだよ。ライブが上手くいったら焼肉ってな(最後は三木に)」

嬉しそうに頷く三木。

徹也「今日はいい感じだったよな。お客さんも集まったし。マジ。超ノリノリだし」

達成感に満ちた、いい顔の徹也と三木。
勝手にテンションが上がっている幸太。

○通り・ビルの前

『牛笑』の入っているビルの前。徹也たちがやってくる。

○『牛笑』店内

皆、ほろ酔い満腹で上機嫌の和宏たち。

和宏「そんじゃ、ボチボチ行くべ」

口々に返事をして立ち上がる箕山たち。

箕山「オレ、ションベンで…」
カズミ「私もトイレ」

店の奥に行く箕山と女の子二人。財布を出す和宏。

○同・レジの前

店の入り口の横にあるレジで、支払いをしている和宏。釣銭を受け取る。
自動ドアが開いて、徹也を先頭に、三木と幸太の三人が店に入ってくる。

店員「ハイいらっしゃいませ!」
徹也「三人で」
店員「はい、三名様。少々お待ち下さい!」

幸太に気付く天野。
幸太も和宏たちに気付いて、顔色が変わる。
幸太に声を掛けようと口を開きかける天野。箕山がトイレから出てやってくる。
徹也の顔を見て、足を止める箕山。徹也も気付く。目が合う二人。
すぐに、徹也の後ろの幸太にも気付く箕山。徹也に視線を戻す箕山。
緊迫した気配に和宏や天野も気付いている。

箕山「(徹也に)よう…」
徹也「…」
箕山「久しぶり」
徹也「…」
箕山「偶然だな、マジで(幸太に)何だ、コータ。最近はコイツとも仲良いのか?」
幸太「…」
箕山「シカトか? おい」
幸太「あ、いや…。そういうんじゃ…」
天野「ミノ、女連れだぜ、今日は」

徹也の顔を見る箕山。

店員の声「三名様、こちらへどうぞー!」
徹也「(箕山に)通るぜ…」

箕山の脇を通って、店の奥に進んでいく徹也。三木もついていく。
トイレから、カズミとアキがやってくる。

天野「行こうぜ」
後藤たちに店を出るように促す天野。
気まずそうに立ち尽くす幸太の横を通って、店を出て行く後藤たち。
天野と、女の子たちも店を出る。
和宏「(箕山に)いいのか?」
箕山「はい。行きます。すいません…」
和宏「(幸太に)行けよ。ミノがウザがってんだろうが」
幸太「…すいません…」
和宏「向こうも待ってんだべ。早く行けよ」
幸太「はい…」

うつむいたまま店の奥に入っていく幸太。店を出て行く和宏と箕山。

○ビルの前

ビルから出てくる和宏たち。

箕山「すいません、何か…」
和宏「いいよ別に」
箕山「カッコ悪いとこ見せちゃって…。あいつ、コータ、カズさんに紹介して欲しいって自分で言ってたんですけど…」
和宏「それはアレだろ? お前と、そのもう一人の、あいつの間の話だろ?」
箕山「はい、まあ、そうっス…」
和宏「ならいいよ。何があったか知んねぇけど。じゃ、オレ、行くぞ」
箕山「はい…」
和宏「じゃあな。あいつらヨロシク」
箕山「はい」

客待ちで停まっていたタクシーに乗り込む和宏。

○『牛笑』店内

焼肉を食べている徹也たち三人。

三木「大丈夫か?」

ヘコんでいる幸太。

幸太「すいません、なんか…」
三木「あの人たちヤベェよ、マジで。絶対堅気じゃないよね」
徹也「バカだよ、タダの。バカなんだよ…。いつまでもバカやってんじゃねぇよ…」

チラッと徹也を見る幸太。

徹也「マジでよ…」

ジョッキのビールを飲み干す徹也。

○タクシーの車内

外の景色を眺めている和宏。(F/O)

○(F/I)地下鉄の車内

地下鉄に乗っている和宏とさち子。渋谷に着き、ドアが開く。降りていく二人。

○地下道

地下のコンコースを歩いていく和宏。

島田の声「…カズヒロ君…」

背後からの声に振り返る和宏。小走りで島田という男がやってくる。

並んで歩く。
島田「良かったー、会えて。ちょっと急いでんだけどさ(笑顔で)今、ある?」

チラチラッと周囲に視線を走らせる和宏。

島田「ある?」
和宏「ここじゃヤバイべ」
島田「あ、ゴメン。…で?」
和宏「ちょっとならあるよ」

○通り 夕方

地下道からの階段のすぐ近く。
財布を開ける島田。カネが足りないことに気付く。

島田「あ、ヤベェ! ねぇや」
和宏「…」
島田「そうだ。さっき携帯の料金払ったんだ…、コンビニで…。ヤベェ。どうしよう?」
和宏「(一瞬、間をおいて)いいよ。五千円な。いつ?」
島田「明日! サンキュ! マジ助かるわ! 明日、絶対ね。ありがと! じゃあね」

和宏から小さな紙袋を受け取って、離れていく島田。
フンと鼻を鳴らす和宏。

○通り

通りを歩いていく和宏。

○通り・十字路

箕山と本間がいる。和宏が歩いてくる。

本間「(和宏に気付いて)ウッス…」
箕山「あれ? カズさん、今日はデートだって言ってませんでした?」
和宏「(遠くを指差して)買い物してくるってさ。オレは女の買い物には付き合わねぇことにしてんだよ。特に洋服は」
箕山「あぁ、それ正解っスね。『どっちがイイ?』とか訊くのやめて欲しいっスよ」

○公園の前

狭くて汚い公園の外周の柵に、天野と後藤が腰掛けている。
学生の男二人組が近寄ってくる。
慣れた、素早い手付きで、差し出されたカネと売り物が入った小さな紙袋をやり取りする天野。

天野「(小声で)またヨロシク…」

軽い足取りで去っていく二人組。

○コンビニ・レジ

缶コーヒーを何個も買っている本間。

○通り・十字路

和宏と箕山が立っている。本間がコンビニの袋を下げて小走りで戻ってくる。

和宏「おう、サンキュ」

袋から、迷わずに、スッと赤い缶のコーヒーを差し出す本間。受け取る和宏。
飲もうとして、通りの先の人の姿に気付く。

和宏「ん、あいつ…」

缶を持つ手の指だけ伸ばして、通りの先を指す和宏。
徹也と三木が歩いている。

和宏「…この間の奴じゃねーの?」
箕山「(苦々しげに)あぁ、そうッスね」
和宏「なんかモメてたべ?」
箕山「いや、昔の友だちっつーか。なんつーか。あいつですよ、一緒にパクられたの」
和宏「(頷いて)あー。なんか酔っ払いのサラリーマン襲っててパクられたって…」
箕山「(苦笑いで、頷いて)ま、なんだかんだで。今はなんか、ラップしてますよ」
和宏「ラップ? ラッパー?」

頷く箕山。

和宏「へぇ」
箕山「…そんで、地元が一緒じゃないスか? だから後輩も被るっていうか…。つーか一緒なんで。この間のコータとかも」

頷く和宏。

本間「あの顔、ちょくちょく見ますね、この辺で。オレ、なんか覚えてますよ」
和宏「あ、そう?」

頷く箕山。

本間「『客かな?』とか思うんですよ、ああいう格好だと。『でも違う』みたいな…」
和宏「あー、あるな、それ」
箕山「ここいら辺て、アレじゃないスか。レコード屋とかそういう洋服屋とか一杯あるじゃないスか? そういう系の…」
和宏「あー、分かる。あるね、確かに」
箕山「で、ここいら辺ウロウロしてんスよ」

頷く和宏。携帯が鳴る。
客の注文を受けるのとは違う方の電話に出る和宏。

和宏「…はいはい。じゃ、行くよ…(携帯を切って、箕山に)じゃ行くから。あとヨロシク。なんかあったら電話くれ」
箕山「はい」
和宏「(本間に)コーヒー、ケンとかにも渡してやれよ」
本間「ウッス」

去っていく和宏。

本間「(和宏の後ろ姿を見ながら)カズさんのカノジョってスゲェカワイイって聞いたんですけど?」
箕山「あれ? お前見たことねぇの?」
本間「はい」
箕山「(頷いて)カワイイ。カズさんってスゲェ真面目なんだけど女関係は」
本間「(驚いて)えー、マジっスか?」
箕山「(笑って)いや、ま、オレの知ってる限りではな。真面目なんだよ。浮気とか全然しねんだ。カノジョ大事にしてんの。でも、それも分かるよなって感じ。カワイイもんカノジョ」
本間「(頷いて)あー、いいなー、それ」
箕山「ま、でも、カズさんがモテねぇワケねーよなーとか思うんだけど、オレは」
本間「あー、それもそうですよねー」

○『109』の前・歩道

ガードレールに腰掛けてさち子を待っている和宏。
そこに、いかにも水商売という格好の田村が近寄ってきて声を掛ける。

田村「よー、カズヒロ。元気?」
和宏「あ、こんちわ。なんスか、こんな所で。スカウトですか?」
田村「当たり前だろー。こんなカッコでさー。どっからどうみてもスカウトだろー?」

敬語の言葉使いとは裏腹に、相手をナメ切った、完全に見下した眼の和宏。

和宏「(頷いて)あぁ。お疲れさんです」
田村「ホントお疲れだよー」
和宏「…」
田村「なあ、カズヒロ。チラッと聞いたんだけど、お前、結構最近稼いでんだって?」
和宏「は? ハハ。そんなことないっスよ」
田村「ま、オレも噂で聞いただけだけど」
和宏「まあ、そこそこですよ」
田村「イヤイヤ。何かオイシイ話あったらオレにもくれよ。なんかの縁だしよ」
和宏「ハハ」

さち子の姿に気付いて、立ち上がる和宏。

和宏「じゃ、人来たんで…」

和宏の視線を追って、田村もさち子に気付く。口元に蔑みの笑みが浮かぶ。

田村「風俗嬢のセイラちゃんか? テクニシャンの」

和宏の眼が、スッと、〝危険な〟目付きになる。

田村「おいおい、怒んなよ。冗談だろー」
和宏「…」
田村「カズヒロ。お前、あんま目立つなよ。言っとくぞ、マジで。あんま調子こくんじゃねーぞ」

無視して、踵を返して去っていく和宏。

舌打ちする田村。
北島が近寄ってくる。
北島「誰っスか?」
田村「(頷いて)後輩だよ。昔一緒にやってたんだ。最近調子こいてんだよ、あの野郎」

田村を無視して、近くを歩いていく女に目をつける北島。

北島「(スッと近寄って)すいませーん…」

和宏が去っていた方を見ながら、もう一度舌打ちする田村。

○横断歩道

仲良さそうに並んで歩く和宏とさち子。横断歩道を渡っていく。

○レコード屋の店内

狭い中古レコード屋の店内。レコードを漁っている徹也と三木。
おっという顔で一枚取り上げる徹也。値段を見て驚く。

徹也「三木…」

三木に、見つけたレコードを見せる徹也。三木もおっという顔をする。
手で隠していた値札を見せる徹也。ガクッと首を落としてうなだれる三木。

徹也「(笑って)うーん、欲しいけど…」

レコードを元に戻す徹也。

三木「(笑いながら)残念…」

大げさに溜息をつく徹也。

○ショップの店内

アクセサリーを見ているさち子。その後ろで、ダルそうな顔で和宏が立っている。

さち子「どっちがイイ?」
和宏「…両方買ってやるよ」
さち子「もう! そういうんじゃない」
和宏「…」

○通り

ばったり会った知り合いと話している徹也と三木。
相手が自作のCD‐Rをくれ、自分たちの赤いフライヤーを手渡す徹也。
握手を交わして別れる徹也たち。

○レストラン(エスニックフード)の店内

向かい合って食事している和宏とさち子。

○繁華街・駅前の横断歩道 夜

ほろ酔いの和宏とさち子。駅に向かって歩いていく。
(F/O)

○(F/I)細い路地

ゴミゴミとアパートや住宅が密集している地域。その一角の路地で、生地の伸び切った安物の部屋着姿のアジズと、水商売ファッションの池山が話している。
痣と傷でアジズの顔は腫れ上がっていて、怯えた表情で微かに震えている。
冷たい目で、そのアジズを見ている池山。財布から札を何枚か出し、アジズの手に握らせる池山。

○『Sweet Berry』の前

開店前で、まだ看板の照明ついていない。池山がビルの中に入っていく。

○雑居ビルの一室・事務所

大きなデスクが一つと、ソファセットが置かれた事務所。
デスクの椅子には佐藤、ソファには池山が座っている。

佐藤「…そんなんじゃ、もう使えねぇな、あいつは」
池山「…そうですね。もう、完全に、ダメだと思います。ブルブル震えてましたから」
佐藤「あのガキ…。調子乗りやがって…」
池山「社長が言ってくれれば、やっちゃいますけど。『やれ』って言ってくれれば…」
佐藤「…」
池山「別に遠慮することないんじゃ…」
佐藤「ウルセェ。黙ってろ」
池山「…」
佐藤「…手は出すなよ。絶対だぞ」
池山「…」

○通り夕方

通りに立っている和宏と箕山と幸太。若いサラリーマンが近寄ってくる。
慣れた様子で、素早くやり取りする客と箕山。

○通り

別の通り。天野と元木がいる。客が近づいてきて、素早く取引する天野。

○通り

和宏たち。若い男が寄ってくる。取引する和宏とその客。
少し離れた所で、池山が和宏たちを憎々しげな顔で見ている。脇に田村もいる。

池山「…調子乗りやがって…」

○通り 夜

箕山と本間が立っている。

箕山「あ、そうだ…」

何かを思い出して、携帯を出す箕山。

本間「なんスか?」
箕山「いや、明日な…」
本間「あぁ。カズさん?」
箕山「いや。…ちょっとな。(電話が繋がり)…おう、もしもし? コータか?」

 (F/O)

○(F/I)三軒茶屋・246沿い 早朝

歩道の端に立って、車を待っている和宏。携帯が鳴り、電話に出る。

和宏「おう。…いや、もういるよ」

○車の中・運転席

箕山のRV車の中。ハンドルを握りながら、携帯で和宏と話している箕山。

箕山「マジっスか? すいません」

○街道沿い

車を探している和宏。

箕山の(電話越しの)声「あ、見つけました。すいません、待たせちゃって…」

 ×  ×  ×
路肩に停まったRV。助手席に乗っていた幸太が降りてくる。

和宏「なんだ、お前かよ」
幸太「ヘヘ、すいません」
箕山「(車内から)今ちょっとコンビニパシらせるんで。なんかあります? コーヒーとか…」

○コンビニ店内・陳列棚

缶コーヒーのコーナー。和宏のいつもの赤い缶を取り上げる幸太。

○車内

助手席に座っている和宏。
幸太が斜め後ろの方向から駆け寄ってきて、助手席のドアに手を伸ばしかける。

箕山「バーカ、後ろだよ」

すぐに自分で気付いて、後ろにまわる。

幸太「(乗り込みながら)すいません…」
和宏「お前、運転出来んのかよ、リリーフ」

買い物の仕分けをしている幸太。

箕山「(イラついて)お前のことだよ、コータ。リリーフって」
幸太「あ、はい。すいません」
箕山「カズさんがお前に訊いてんだよ。リリーフって、オレの運転の交代要員だって言ってたんだよ、今。お前運転出来んのかって訊いてんの」
幸太「あ、すいません。出来ます。今年取ったばっかですけど。まだローンは払ってんですけど、教習のカネは…」
箕山「そこまで訊いてねーよ」

苦笑いの和宏。アクセルを踏む箕山。

和宏「コーヒーくれ」
箕山「お前だぞ、コータ」
幸太「はい!」

赤い缶の缶コーヒーを和宏に渡す幸太。

和宏「サンキュ」
幸太「(嬉しそうに)はい…」
箕山「『はい』じゃねーよ…」

○道路

都内の空いている道を走る箕山の車。

箕山の声「とりあえず、ガソリン入れようと思ってんですけど…」
和宏の声「ん。カネ、全部払うからな」
箕山の声「はい…」

ウィンカーを出して曲がっていく。

○車内

和宏「…やっぱ新車はいいべ?」
箕山「最高っスよ」
和宏「ふーん。オレも買おっかな」
箕山「なんならディーラー紹介しますんで」
和宏「おー、いーねー」

GSの看板が見える。

箕山「ここ、入ります…」

徹也が働いているGS。入っていく。

○ガソリンスタンド

女の子の従業員が駆け寄ってくる。

従業員「いらっしゃいませー」
箕山「(車内から)ハイオク、満タンで」
従業員「はーい…」
箕山「現金なんで…」
従業員「はーい」

和宏が車から降りてくる。

和宏「トイレどこ?」
従業員「あ、あちらでーす…」

指された方に歩いていく和宏。
掃除道具一式を抱えて歩いていた徹也が、箕山の車に気付く。
車内の箕山も徹也に気付いていて、挑発の笑みを浮かべて、じっと徹也を見ている。
気まずそうな顔で、後ろのシートで縮こまっている幸太。
 ×  ×  ×
和宏が戻ってきて、車に乗り込む。車を発進させる箕山。
ガレージに入っていく徹也。振り返って、箕山の車を見る。
GSを出て行くRV。

○アクアライン・トンネルの中

三車線が真っ直ぐ伸びるトンネルの中を走る箕山のRV。

○車内

インターチェンジ(君津IC)で高速道路から降りる和宏たち。

○道路

千葉県の県央。街道を走る車。

○車内

膝の上に地図を広げている和宏。

和宏「ボチボチだべ…」
箕山「あ、あれじゃないスか? コンビニ」
和宏「あー、あれだあれだ。間違いねぇな」
箕山「はい。…そんで、どうします? 真っ直ぐ入ります?」
和宏「…」
箕山「…様子見ます?」
和宏「行ってみんべ。ゆっくり入って…。停めんのもなるべく端っこでな…」
箕山「分かりました…」

○コンビニの駐車場

四つ角の一角を占めるコンビニの、店舗の何倍もある広い駐車場。
交差点からゆっくり箕山の車が入ってくる。

○車内

一番隅の区画に車を停める箕山。警戒して視線を辺りに走らせている三人。
エンジンは切らない。

和宏「あれだべ…」

ちょうど反対側に、白い軽トラが停まっている。
車の時計で時間を見る和宏。

箕山「どうします?」
和宏「行ってくる。ここにいろ」
箕山「はい…」
和宏「周りよく見とけよ。ヤバそうだったらソッコウ逃げろよ」

車を降りる和宏。駐車場を歩いていく。

○駐車場

白い軽トラの前。和宏が近寄ってくると、中から、ヒッピー崩れの中年の男が降りてくる。
和宏に歩み寄る菅野という男。

菅野「…カズヒロ君?」
和宏「どうも」

○車内(箕山の車)

和宏と菅野が握手を交わす姿が見える。
和宏が車の方に戻ってくる。小さく合図してくる和宏。
すぐに車を動かし、和宏に近づく箕山。
助手席に戻る和宏。

和宏「あの軽トラだ。追っかけろ」
箕山「はい…」

駐車場から出て行く軽トラ。箕山のRVも後を追って出て行く。

箕山「どうでした?」
和宏「ああ、ホンモンだと思う」

○道路

田んぼと畑が回りに広がる道。軽トラとRVが走っていく。

○林道

舗装された道から、山沿いの無舗装の林道に曲がっていく軽トラ。
RVも続く。

○林の中・掘っ立て小屋

山の林の中に立てられた掘っ立て小屋。菅野に案内されてきた和宏と箕山。

○小屋の中

蛍光灯とアルミホイル、プランター、ポンプとホースで手製された、促成栽培の装置を見せられている和宏と箕山。

箕山「…すーげぇー…」
菅野「(自慢気に)…近くの川で水車回して発電して使ってるの。電気代凄いとマークされるんだよ。水も、その川のもっと上流から引っ張って来てるの。水が綺麗だといいみたいだよ、やっぱり。あとは土。土は凄い大事。土と肥料」

菅野の口上に苦笑いの和宏。

○林道

軽トラの脇で商談をしている和宏と菅野。

和宏「(札の束を渡して)じゃ、これで…」

受け取る菅野。

和宏「今生えてるやつは、どのくらいで…、収穫って言うんですか? 完成? 出来るんスか? 売れるようにっていうか…」
菅野「んー、すぐだよ、伸びるのは…」

同じくらいの札束をもう一つ出す和宏。

和宏「じゃ、それももらいます。これ、前金で。出来たら、連絡くれればいいんで」

少し驚きながら受け取る菅野。

和宏「同じ量で。よろしくお願いします」

じゃがいもの出荷用の段ボール箱をRVに積み込んでいる幸太。

○道路

前を走っていた軽トラがハザードを出して、路肩に停まる。クラクションを鳴らしながら、追い抜いていく箕山のRV。

○車の中

幸太の足元に段ボール箱が置かれている。

箕山「この車にあの段ボールじゃ、かえって怪しいかもしんないスね?」
和宏「(笑って)…そうかもな」

上機嫌な和宏。

○ファミレスの店内

テーブル席を囲んでいる和宏たち三人。
和宏と箕山はグラスのビールを飲んでいる。幸太はコーラ。

箕山「…来た甲斐ありましたね、今日は」
和宏「だな。これでショボかったら笑えねーべ、マジで。ビールなんか飲めねぇよ」
箕山「(頷いて)そうっスね」
和宏「でも、思ってたより、全然いいよな」

頷く箕山。ウェイトレスが二人分の料理を運んでくる。和宏と幸太の分。

和宏「…ビールを、もう二杯…」
ウェイトレス「はーい」
幸太「(和宏に)…いただきます…」
和宏「はいよ(箕山に)…お先に…」
箕山「ウッス…(間)…旨くいくといいっスすね、こっちのルートも…」
和宏「(食べながら)…違うべ、ミノ。ウマく〝やる〟んだよ。いく、いかねぇの話じゃねぇんだって。やるかやらねぇか。違い分かんだろ?」

ウェイトレスが箕山の皿とお代わりのビールを運んでくる。

和宏「〝オレら〟がな。やるかやらねぇか。ウマくいくかいかないとかじゃなくてな」
箕山「…はい。そうっスね…」
和宏「ま、いいけど。いいよ、喰えよ」

頷いて、食べ始める箕山。

和宏「…お前も喰えよ…」

フォークを持ち上げて口を開けたまま、和宏に見入っていた幸太。

幸太「(気がついて)あ。すいません…」
和宏「別に謝んなくていいよ。残さねぇで喰えよ、ちゃんと」
幸太「(モグモグしながら)ふぁい…」

フッと笑う和宏。幸太も笑顔になる。

○ファミレスの外

入り口の階段を下りてくる箕山と幸太。

箕山「コータ。今のがカズさんだぜ」
幸太「はい?」
箕山「さっきの話だよ。やるやらないの話」

駐車場を歩いていく二人。

幸太「あぁ、はい。オレ、ちょっと感動しました、マジで。感動したっていうか、ビビッたっていうか…」
箕山「カッケーだろ?」
幸太「はい」
箕山「…カリスマとかって言うんだろ? ああいう人のこと…。違うか。ホントの意味分かんねぇから分かんねぇや。…英語ダメなのはお前もか。ならいっか…」

車のキーを手渡す箕山。

箕山「コータ。お前もカズさんについて来いよ。損はさせねぇぜ。自信あんだ…」

和宏が階段を降りてくる。

和宏「…お前ホントにイケんのか! オレが運転すっか?」
箕山「大丈夫っスよ。事故ったら殺します」
和宏「ハハッ。殺されんなよ、コータ」

○車内

運転席の幸太。助手席に和宏。後ろに箕山。
ファミレスの駐車場を出て行く。

○インターチェンジ(君津IC)

高速に乗るRV。

○車内

ジャンクション(木更津JCT)で左にハンドルを切る幸太。
箕山は後ろで寝ている。
カーステをいじっている和宏。
 ×  ×  ×
アクアラインのトンネルに入っていく。

○トンネルの中

トンネルの中を走る箕山のRV。

○車の中

赤い缶のコーヒーを開け、一口飲む和宏。後ろの箕山をチラッと見る。
箕山は寝ている。

和宏「…お前さ、嫌なら来なくていいんだぞ」
幸太「はい? いや、別にそんな…」
和宏「ミノに言われて無理やりとかじゃねーのか? お前」
幸太「そんなことないっスよ、マジで」
和宏「ヤならいいんだからな」
幸太「はい。あ、いや…」
和宏「お前、あの、ラッパーのあいつとも一緒にいんべ?」
幸太「…あ、テツさんですか?」
和宏「なんかミノと仲悪いんだろ? そいつ。なんでかは知んねぇけど…」
幸太「…はい、そうっスね。二人、…仲、悪いっスね…」
和宏「いいのか、お前。そういう、両方に顔売るみたいな感じでよ…」
幸太「…」
和宏「あんま良くねーべ、そういうのは」
幸太「はい…」
和宏「…」
幸太「あの…。昔は…、あの二人、ミノさんとテツさん、スゲェ仲良かったんですよ。二人ともカッコよかったし、強かったし、仲良くて、それもカッコよくて…。自分らのホント憧れっつー感じの先輩で、二人とも。でもなんか、最近…。最近つーか、パクられて、帰ってきてから、色々、二人やること違ってきて、それで…」
和宏「あー、分かるよ」
幸太「で、オレは二人とも好きなんで…。出来れば、仲直りっていうか…。昔みたいにずっと一緒につるんでっていうのは無理だと思うんで、やっぱり…」
和宏「…もうガキじゃねーしな、どっちも」
幸太「はい。それは分かってるんで。でも、なんか、せめて、顔見たらちょっと話すとか、たまに飲んだりとか…。そういう、上手く言えないんスけど…。せめて仲直りくらいはして欲しいっつーか…」
和宏「…」
幸太「まあ、勝手に思ってるだけなんで、全然、オレなんか、しょうがないんスけど」
和宏「…」
幸太「…あの…」
和宏「ん」
幸太「…カズさんは、やっぱウザイですか、そういうの。オレみたいのが、どっちにもっていうのは…」
和宏「…オレはいいけど、ミノだべ、この話は。ミノはムカついてんだろ?」
幸太「…」

間。横目で幸太を見る和宏。
ヘコんでいる幸太。
寝ている箕山。

和宏「…テツっつーのか、あのラッパー」
幸太「はい。あ、徹也さんです、本名は」
和宏「ああいうの、カッコいいよな、やっぱ。ミュージシャンだもんな」
幸太「そうですよね! めちゃくちゃカッコいいっスよ! この間ライブ観てきたんスよ、初めて。観に来いって言ってくれて。めちゃくちゃカッコよかったっスよ」
和宏「へー」
幸太「今度お前もステージ上げてやるとか言うんスよ、冗談で。 『いやムリムリ』って真剣に断っちゃいましたよ…」

急に饒舌になった幸太に苦笑いの和宏。

幸太「あ、テツさんの曲、聞きます? 今、持ってるんで…。あ、バッグ後ろだ…」
和宏「今いーよ。ミノに怒られんぞ、また」
幸太「あ…」
和宏「マズイべ、それは」
幸太「(ヘコんで)はい…。あの、良かったら持って帰ります? CDなんで。テツさんにもらったんスよ。なんか自分たちで作ったらしいんスけど…」
和宏「…いいのか? お前がもらったモンだろ?」
幸太「あ…。いや、オレはまたもらいます。いい人なんで、言えばまたくれると思うんで。じゃ、あの、後で…」

頷く和宏。

幸太「カッコいいっスよ」

○道路

工業地帯の道を走るRV。

○車内

信号で停まっている。
後ろのシートに手を伸ばし、自分のバッグを取る幸太。
箕山と、和宏も寝ている。バッグからCDウォークマンを出す。
 ×  ×  ×
別の信号。CD‐Rのケースを手渡したいが、和宏が寝ていて、迷っている幸太。
信号が変わり、とりあえず和宏の目の前のダッシュボードに置く。

○三軒茶屋・246沿い

RVが路肩に停まる。

○車内

シートベルトを外す和宏。CD‐Rを取って、幸太に見せる。

和宏「(小声で)もらってくぜ」

忘れていた幸太。アッという顔をする。

和宏「ミノ! 行くからな! じゃあな!」

ハッと目を開ける箕山。

車を降りる和宏。
箕山「あ。はい。すいません…」
和宏「お疲れさん!」
箕山「ウーッス!」

ドアを閉める和宏。

○和宏のアパート・寝室

セミダブルのベッドが置いてある部屋。ミニコンポにCDをセットしている和宏。
徹也の曲が流れ始める。ベッドにドサッと腰を下ろす和宏。
曲を聴いている。(F/O)

○(F/I)路地・コインロッカーの前

ロッカーを開けて、中から黒いバッグを出す和宏。
持っていた安物のトートバッグに中身を移し、ロッカーに戻す。

○ラブホテル街・路地

携帯で話していた和宏。ホテルの通用口から、安っぽい制服を着た男が出てくる。
札を何枚か受け取り、紙袋を渡す和宏。
通用口に戻っていく男。

○路地・ビルの裏手

Yシャツにネクタイ姿のサラリーマンに紙袋を渡している和宏。カネを受け取る。

○歩道

広い道路の歩道。繁華街の方へ、坂を下っていく和宏。

○繁華街・脇道

脇道から大きな通りに出て行く和宏。
目の前を、徹也が歩いていくのに気付く。歩きながら、徹也の後ろ姿を見送る和宏。
足を止め、徹也と同じ方向に歩き出す。

○レコード屋

お洒落な内装のレコード屋。レコードを見ている徹也。
 ×  ×  ×
店員に、店に置かせてもらうフライヤーを手渡している徹也。

○雑居ビルの前

買ったレコードを下げた徹也がビルから出てくる。
目の前に、ガードレールに腰掛けた和宏がいる。目が合う二人。

和宏「…よう」
徹也「…」
和宏「(立ち上がって)CD聴いたぜ。結構、カッコいいんじゃねーの」
徹也「…どうも」
和宏「…マジだぜ。ま、素人に褒められても嬉しくねーかもしんねーけど」
徹也「…」

表情にも反応がない徹也。むしろ迷惑そうな感情すら浮かんでいる。

間。
徹也「…そんだけスか?」
和宏「…」
徹也「なんも買わないっスよ、オレは…」
和宏「あぁ?」
徹也「…じゃ…」

歩き出す徹也。

和宏「おい」

立ち止まって振り返る徹也。

和宏「…お前のCD、コータからもらっちまったから。あいつにもう一枚やってくれ」

頷いて、再び歩き出す徹也。

○路地

不機嫌な顔で歩く和宏。携帯が鳴る。

○トンネルの前

線路をくぐる小さなトンネルの前にいる箕山と本間。携帯で電話している箕山。

箕山「あ、もしもし、オレです」

○路地

和宏「分かってるよ」

○トンネルの前

受話口を手で塞ぎ、本間に囁く箕山。

箕山「ヤバイ。なんか怒ってるよ」
本間「(小声で)マジで…」

○路地

和宏「もしもし? …おう。…うん。…そうか。オレも今なくなった。…あぁ、そうだな…」

○トンネルの前

箕山「じゃ、そうします。はい。後で…」

電話を切る箕山。

本間「なんかあったんスかね?」
箕山「(首を捻って)分かんね」

○路地

無断駐輪の自転車と二輪がズラッと並ぶ路地。その中の、ボロボロの原チャリのシートを開ける箕山。黒いバッグを出す。

○路地

路地を歩いていく和宏。携帯が鳴る。

○通り

携帯で話している天野。傍に後藤がいる。

天野「…カズ。見つけたぜ。どうする?」

○路地

立ち止まって話していた和宏。携帯を切り、来た方に戻っていく。

○通り

歩き出す天野と後藤。天野の目線は、何かを追って、先の方を見ている。
携帯で電話している後藤。

○路地

黒いバッグを抱えて歩いている箕山と本間。
携帯が鳴り、電話に出る箕山。

箕山「はい、もしもし…」

○公園

公園の片隅で、島田を囲んで、ボコボコにしている和宏たち。
和宏と後藤が手を下し、箕山は回りに視線を走らせている。

島田「…テメェ…」

地面に転がっている島田を冷たく見下ろす和宏。

島田「…たかが五千円じゃねーか…」
和宏「…五千円でここまでやんのがオレらのやり方なんだよ…」

後藤に蹴られ、呻き声を上げる島田。
天野が島田の横にしゃがみ、腰に手を伸ばして財布と携帯をポケットから引っ張り出す。
財布から札を抜き、カード類を全部と、免許証を抜き取る。

天野「…バーカ。持ってんじゃねーか」
和宏「…番号は誕生日か?」
島田「…」
和宏「…」
島田「…そうだ…」

カードと携帯を和宏に手渡す天野。そのままカードを箕山に手渡す和宏。

島田「…テメェ…」

携帯を地面に放り、踏み潰す和宏。

和宏「…じゃあな…」

その場から去っていく和宏たち。

○ATM/CDコーナー

無人の、機械が一つあるだけのATMコーナーから箕山が出てくる。
嬉しそうな顔で、外にいた本間にチラッと、引き出した札の束を見せる箕山。

本間「おぉ。スゲェ」

○通り

携帯で話しながら歩いている和宏。飲みかけの赤い缶の缶コーヒーを持っている。

和宏「…よし。カード、全部捨てとけよ…」

○住宅街の一角

似たような造りの、建売りの住宅が並ぶ路地を歩いている徹也。
慣れた様子で、一軒の家の、半地下になっているガレージの前に下りていく。
ガレージのシャッターを軽くコンコンと叩く徹也。
シャッターが開いて、三木が顔を出す。

三木「ウィーッス」

 ×  ×  ×
原チャリに乗った幸太がやってくる。住所を探しながら、ゆっくり走っている。
三木の家の前に停まってから、携帯で電話をかける幸太。
シャッターが開き、三木が出てくる。

幸太「チーッス!」
三木「そのまま入って来いよ!」

○ガレージの中

ターンテーブルとスピーカーがセットしてあって、マイクも繋がっている。
レコードを回して音を出し、スクラッチをする三木。
それをイントロにして、ラップを始める徹也。
練習する二人を、口を開けて眺めている幸太。

○ガレージの前 夕方

ガレージから出てくる三人。心地良い疲れを感じている表情の徹也と三木。

三木「今からバイトだー。これ、途中でバテるなー」
徹也「今日は飲み屋はヒマなんじゃん?」
三木「うん、多分ヒマ。そっちの方がダルイの」
徹也「あー、それ分かる」
三木「テツヤさんは? バイトあんの?」
徹也「(頷いて)もち」

原チャリを押していた幸太。

幸太「(唐突に、笑顔で)じゃ、オレ行くんで…。お疲れさんでした…」
三木「え?」

原チャリに跨って、走り去っていく幸太。

ちょっとあっけに取られている二人。
三木「…帰っちゃったよ。変なヤツ…」

笑う徹也。

三木「…あいつもさー、なんかやりたいんじゃないの?」
徹也「?」
三木「ラップとかDJとかさ。…だって今もずっとニヤニヤしながら観てたもん。普通、ウチらの練習観てて楽しいかな? しかもなんかあっさり帰っちゃったし。やっぱ、ちょっと変だよね。いいヤツだけど」
徹也「あ、忘れてた。あいつに…」
三木「なんかあんの?」
徹也「…今度でいいか」
三木「いいんじゃない?」
徹也「だな」

○更衣室

ロッカーが並んだ、GSの従業員用の狭い更衣室。
制服姿の徹也がカップラーメンをズルズルすすっている。

○ガソリンスタンド 深夜

ホースで水を撒いている徹也。手が止まっていて、一箇所だけが濡れていて、他の所のアスファルトは乾いたまま。何か考え事をしている。 (F/O)

scenario index